【報告】経営改革かわら版
西予市に限らず全国的な医療従事者不足が課題となっている中、持続可能な地域医療の提供をどのような形で進めるかが重要視されています。広大な面積を有する西予市には、無医地区があり、平成30年度から無医地区(無医地区に準ずる地区)へ移動診療車での巡回診療を行っています。今回は、野村町惣川地区(毎週月曜日)・城川町遊子川地区(毎週木曜日)で実施している巡回移動診療の様子をお知らせします。巡回診療車による診察は、令和7年度以降も引き続き実施に務めてまいります。
巡回診療
巡回診療とは、無医地区における医療の確保を目的として、一定の地点において特定多数の人に対して診療を行うこと。移動診療車にある程度の医療機器を搭載してより居宅に近い場所で診療を行うこと。
巡回診療は、厚生労働省の「巡回診療の医療法上の取り扱いについて」に沿ってすすめています。
地域のみなさんの声
・野村病院まで行くのは片道およそ40分、待ち時間も長く半日は十分にかかる。地域づ くり活動センターまで診療車が来てもらうので、移動時間、待ち時間もかからず心身への負担がない
・週1回でも有難い。野村病院が無床化になってもこの診療車は続けてほしい
地域に医療スタッフが来てもらうことへの感謝の声が聞かれました。
遠隔診療の運用も視野に
全国のへき地では、巡回診療のほか、病院と地域(公民館や患者宅)をデジタル技術でつなぐ遠隔診療(オンライン診療)を実施している地域もあります。限られた医療人材や資源から、持続可能な地域医療を提供し、市民の安心安全な生活を守るため、遠隔診療の運用も視野に入れるなど、検討していきます。
令和6年第2回西予市議会臨時会において再上程した「西予市立西予市民病院、野村病院、つくし苑の指定管理者の指定」が可決されました。
指定管理者は、「公益社団法人 地域医療振興協会(以下「協会」)」。
今後は、指定管理移行にかかる情報提供に努めてまいります。
5人の議員が討論(一部抜粋)
(反対討論)
・指定管理の議案を再提出するのであれば、住民への説明、職員に残ってもらえる努力などが必要。話し合って妥協点をみつけていくことと、市民の声や状況に合わせて調整を続けていくことも大きな役割であり、6月議会での議決を受け止め、何らかの修正をして提出すべきであり、不誠実な対応と言わざるを得ない。退職の意思がある職員をこの議決・協会からの条件掲示で、考え直してもらう、食い止めることが本当にできるのか。
・何よりも住民が納得していない。医療福祉行政の大きな方向転換になる問題だからこそ、住民の声を聞き合意を形成する努力がまだまだ必要。野村病院無床化は、管家市長の基本理念である暮らして安心が体感できるまちづくりに逆行しているのではないか。
(賛成討論)
・3月、6月定例会では反対をしてきた。その理由は、地域の野村病院を守ってほしいとの切実な願いがあったこと、指定管理の導入の経緯、必要性、野村病院を無床化までしなければならない市の説明が十分でないと思ったからである。一方で、両院長から現場の悲痛な叫びにも似た説明も受け、現状の医療が立ち行かなくなり、この先、西予市の地域医療はどうなるのか自問自答してきた。たとえ自身が批判を受けても、西予市全体の医療介護を守るため、つらく厳しい判断をすることも重要な議員の責務であると考え、市全体の問題として、将来に渡って医療介護を受けられる公設の医療機関を残すための苦渋の判断であることをご理解いただきたい。
・医療現場の現状について今の不安定な状況が続くと、職員のモチベーションの低下や病院の空気が悪くなる。一日一日、現場の状況が悪化し、住民の悪影響につながると思うということを聞いた。今の医療現場でやれることを選択すべきではないか。前回の否決から1か月もたたずに臨時議会を招集し、同じ議案を上程されたのは、それだけ切羽つまっていると理解するべきではないか。行政の責任者と医療の責任者の言葉をもっと真剣に真摯に受け止め、二次救急を集約することが市民の命を守るものと確信している。
・現状、医療従事者等の確保、経営状況ともに大変厳しく、現状改善、改革には協会の持つ経営手法を活かして、効率的に施設の運営や経営を行っていく必要がある。医療体制の維持は西予市だけでなく、特に南予全体の大きな課題であるが、協会、医療従事者、市民、行政、議会が協力し、いかに3施設を存続させ、地域医療福祉を守ることに全力を注ぐべきと考える。最も大きな解決すべき課題は、二次救急を含め市民の安全、安心と生活を守るため地域医療福祉をどのように維持していくかである。
管家市長コメント
今議会において、当市の医療福祉の命運に関わる指定管理者の指定議案を再度提出し、ご決定をいただくことができました。今後の西予市の医療福祉の在り方に対する議会としての適切な選択、判断がなされたものであり、感謝申し上げます。
医療従事者、特に医師、看護師については、現状の規模、機能を維持するには絶対的にその数が不足しており、その数を補う術は如何ともし難いものがあります。このまま医療福祉改革の推進、指定管理への移行が進まなければ、貴重な医療従事者の更なる不足を招き、取り返しのつかない事態に陥りかねず、二次救急集約の実現も困難を極める状況になると懸念いたしておりました。
それぞれの地域住民からの意見や要望もあり、賛成いただいた議員におかれましては、さまざまな葛藤の中、英断をいただいたものと重ねて感謝申し上げる次第であります。
全国の多くの過疎地域で運営実績のある地域医療振興協会に両市立病院およびつくし苑の運営を委ね、将来の地域医療福祉を市とともに責任を持って守っていく、そうした機会を得ることはそうそうあるものではありません。これから、具体的な運営方法について協会と協議を進め、職員の処遇についても、できる限りの対応をしてまいりたいと思います。
西予市民の安全と安心な生活を守るため、今後も、西予市の医療福祉の在り方について、各層、各界のみなさまのご意見を頂戴し、十分に検討した上で、対応してまいりたいと思います。
令和6年第2回西予市議会定例会において上程した「西予市民病院、野村病院、つくし苑の指定管理者の指定が否決されました。本会議では9人の議員(賛成6人・反対3人)が討論し、是非が問われました。
管家市長あいさつ(閉会の挨拶より)
今議会において、当市の医療福祉の命運に関わる指定管理者の指定議案が否決されました。
今後の西予市の医療福祉の在り方に対する現段階の議会としての選択、判断がなされたものであり、しっかりと受け止めさせていただきます。残念です。
議員各位におかれましては、両市立病院の現状と、今後の本市の医療福祉環境の見直しについては、一定以上の理解をいただいているものと認識をいたしております。
常々申し上げましたが、医療従事者、特に医師、看護師については、現状の規模、機能を維持するには絶対的にその数が不足しており、その数を補うすべは、如何ともしがたいものがあります。
特別委員会では、もう少し時間をかけて検討すべきという声もいただきました。
しかし、この問題、1年以上の期間、本来議論すべき、現状、将来を見据えた地域医療福祉の在り方について、具体的な方向性を見いだすことがないまま、一向に進展しておりません。
その一方で、日に日に現場の状況は厳しくなり、野村病院においては、二次救急の対応が困難となっており、現場からは悲鳴に近いような声が上がっている状況です。
議員の皆様はもとより、市民の皆様にも、こういった医療福祉現場の生の声をしっかり御理解いただけないと、本当に市内の医療福祉が崩壊することになります。
貴重な医療従事者のさらなる不足を招き、取り返しのつかない事態に陥ってしまわないことを願うばかりです。
また、この結果によって、二次救急集約の実現も困難を極めることは御承知おきください。
私は、この改革が進まなければ、西予の医療福祉の崩壊を招きかねないという危機感を持ち、地域医療福祉を守るという責任を持って、指定管理者の指定議案を提案させていただきました。
しかし、特別委員会におきましても、本案に反対する委員からは、反対の理由は述べられるものの、限られた医療従事者で、野村病院にどのようにベッドを残し、その上で、市民病院へ二次救急集約をどのようにして実現するのか、示されたことはありませんでした。
指定管理者から提出された実施計画以上の提案もないまま、問題が先送りされ、結果として対処出来ない事態に陥ることになります。
議員の皆様が、それぞれの地域住民の方々の意見や要望に耳を傾けることは、大事なことであります。それを行政につなげていくことは、本来的な役割でもあります。
しかし、時と場合によっては、市民の声と反対の方向であったとしても、現実としてしっかり対峙し、西予市の将来のために、厳しい判断をしなければならないこともあります。
全国の多くの過疎地域において、医療福祉の運営実績のある地域医療振興協会に両市立病院及びつくし苑の運営を委ね、将来の地域医療福祉を市とともに責任を持って守っていく、そうした機会を得ることは、そうそうあるものではありません。
今回の決定により、将来の西予市の医療福祉に対する責任が果たせない結果となり、痛恨の極みと言わざるを得ません。
ただし、繰り返しになりますが、当市の医療現場の現状からすると、もはや立ち止まる猶予はなくなっています。
私としては、市長として、市民の皆様の安全と安心な生活を守るため、身近なところで医療を受けられる環境を整えることが、最重要項目であることに変わりはありません。
今後も、西予市の将来の医療福祉の在り方について、各層、各界の皆様の御意見を頂戴し、熟慮した上で、対応してまいりたいと思いますので、議員の皆様におかれましても、何とぞ御理解と御協力をお願いいたします。
5月24日(金曜日) 行政報告会での内容をお知らせいたします
指定管理者による運営を行う予定としている西予市民病院、野村病院、つくし苑の指定管理者候補の選定を公平かつ適正に実施するために設置された「西予市民病院・野村病院・つくし苑に係る指定管理者選定委員会」から、公益社団法人地域医療振興協会(協会)を指定管理者候補として選定。選定方法や審査結果について報告がなされました。
指定管理者候補の選定方法
(1)選定の基本方針
3施設の指定管理者は、施設の管理運営を全般的に行うことから、申請者の幅広い能力・ノウハウを総合的に評価する必要があるため、選定に当たっては、申請者からの提案内容について総合的に評価する。
(2)選定委員会の構成
指定管理者候補の選定を公平かつ適正に実施するため「西予市民病院・野村病院・つくし苑に係る指定管理者選定委員会設置要綱」に基づいた構成員で、委員は6人。
(3)選定委員会の開催状況
令和6年3月、4月、5月 の3回開催。
指名型による指定管理者の選定を行った理由
市では、将来にわたって医療福祉を安定的に提供するため「公立病院医療提供体制確保支援事業」に取り組んできた。事業内容は、総務省が地域医療振興協会と連携し、へき地の中小規模の公立病院に対して、経営改善の助言または経営面および診療面双方の支援を行う。希望すれば、協会による指定管理の相談も可能。
協会は全国で多くのへき地病院、施設の指定管理での運営実績があり、看護学校の運営も行っている。へき地医療に精通し、医療従事者の確保も期待できることから、協会のみを選定するに至った。
審査の方法
書類・プレゼンテーションによる提案内容の審査。採点の合計を平均した得点が100点の60%に満たない場合は候補として選定しない。
審査結果
第2回選定委員会で、書類審査およびプレゼンテーション審査を実施。委員6名による採点を行った結果、基準を超える採点結果であったため、協会を指定管理者候補として選定した。
指定管理期間
令和7年4月1日から10年間
提案の概要
協会から次のような提案があった。
(1)運営方針
安定した施設経営・強化の取組、医療人材を集約化し、3施設の適切な役割分担・機能分化を図る。
(2)職員の確保
大学医局、県の派遣継続、協会からの派遣調整、現在の職員の継続雇用。給食、施設管理、清掃などは専門の委託業者を活用する。
(3)市民病院への二次救急の集約
市民病院へ集約。医療資源を最大限に活かしつつ、救急医療体制の維持・確保に努める。幅広い診療を行う総合診療と各専門診療が連携し、救急医療の充実に努める。
(4)各施設の規模・機能
〇西予市民病院:休棟してる3病棟は療養病棟として再開。現在の診療科を当面継続。人工透析は継続。
〇野村病院:無床診療所。内科と整形外科を中心に、非常勤医師による外来診療を当面継続。訪問看護ステーションを設置。病棟を廃止後生じるスペースは、看護小規模多機能、サービス付き高齢者向け住宅などへの転用を検討。
〇つくし苑:老人保健施設100床と通所リハビリテーション定員35人を維持。
(5)経営改革
地域のニーズや患者の疾患構成、職員数などに応じ、医療情勢を考慮しながらサービス向上と増収対策に努める。3施設の職員配置を適正化し、効率的な運営に努める。
指定管理者選定委員会からの意見
生産年齢人口が少なく、すでに就業率が高い地域。医療従事者を確保する具体的な方策を示し、指定期間内での安定的な経営が重要。
野村病院の病棟部分に看護小規模多機能やサービス付き高齢者向け住宅などを設置する場合、市民が利用しやすい施設になるよう、具体的推進方法を市民に説明する必要がある。
医療福祉改革に関する疑問・不安・不満に市長が応えます!
・なぜ医療改革が必要なのか?
・医師・看護師の確保が困難となると市民は不安だと思うが?
・民間事業者が運営すると不採算部門が切り捨てられるのでは?
・指定管理になった場合、医療従事者は確保されるの?
・3施設の職員は公務員の身分を失いますが処遇に関する保証は?
・3施設の再編成は今後どうなる?
・地域医療を守るためにご賛同を
医療現場の現状とこれからの医療体制の在り方、医療改革への思いを、両院長に聞きます!
・市民の安全と未来につながる医療体制を構築する経営改革を
・魅力的な職場環境で人材不足解消
・限られた医療資源を有効活用するために
・医療の充実を図るなら余力のあるうちに医療改革を
・地域包括ケアシステムの充実で安心を
これらのことに関する、市長・両院長の生の声は、 ★西予CATV・SNSからご覧ください
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西予CATV・SNSで放映、配信中(期間 5/20~6/16)
放送日 | 時間 | 番組タイトル |
令和6年5月20日(月曜日) | 18:00~18:30 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年5月26日(日曜日) | 8:00~8:30 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年5月27日(月曜日) | 6:30~7:00 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年5月31日(金曜日) | 18:30~19:00 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年6月3日 (月曜日) | 6:30~7:00 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年6月7日 (金曜日) | 18:30~19:00 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年6月10日(月曜日) | 12:30~13:00 | 西予市医療福祉改革について |
令和6年6月16日(日曜日) | 17:30~18:00 | 西予市医療福祉改革について |
★ YouTube ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=UFd5iDptXJM
令和6年第1回定例会で市議会議員から出された、地域医療福祉改革に関する一般質問についてお知らせします。
(質問)地域医療振興協会の専門的支援の今月2月までの経過と結果は?
6月に地域医療振興協会と協定を締結してから3施設の経営分析や関係者へのヒアリングを重ね、10月に初回の再編成計画の提案があった。その提案は、野村病院の病床を無床とする内容だったため、野村病院に病床を残せるよう、再度、分析依頼を行い、昨年12月に次の2案を含む再編成計画が提案されたところ。再編成計画の提案を受け、議会特別委員会、3施設の職員、市民に対し、説明会を開催した。
(質問)野村病院は福祉施設の協力医療機関だが、野村病院で急性期の患者受入れができなくなった場合、すべての患者を市民病院で受入可能なのか?
有床・無床・協力医療機関であるかどうかに限らず、福祉施設などからの相談や診察に応じることは必要であると考えている。野村病院を30床の地域包括ケア病棟にとの案も示されており、その場合にはもちろん野村病院で急性期の受入が可能。しかしながら、病床の稼働状況は日々変動しており、福祉施設からの入院がいつ・どれだけあるかは予想できないため、市民病院ですべて受入れ可能とは言えないことをご理解いただきたい。協力医療機関と入院などに関する新たな施設基準として1月25日に官報で示されたところ。今後、病院の経営形態の検討とあわせて、福祉施設と協議・検討していく。
(質問)公設公営ではなぜいけないのか?現在の病院経営の問題点は?
医療従事者の確保が大きな問題点。医療福祉介護の現場職員のみなさまには、市の医療提供体制を維持するための改革にご理解いただき、今後も地域医療体制の維持向上に尽力いただけるよう対応していく。働きやすい職場環境の構築とスキルアップのため研修の充実を図り、医療従事者の確保に取り組まなければならない。
(質問)説明会では経営改革反対の意見が多かったが市民の理解は得られたと思うか?
市民・職員への説明を重ね、地域やそれぞれの立場からさまざまな意見をいただいた。可能な限り意見を尊重しながら、影響を最小限に留め、医療福祉サービスの維持・向上を図っていく。職員に関しては、経営改革の必要性への理解は得ていると認識している。今回の改革は、将来にわたって3施設を残すための改革であり、西予市の医療福祉サービスを崩壊させないために取組んでいることをご理解いただきたい。
(質問)過大な西予市民病院建設が経営悪化の原因と考えるがその責任の所在は?
西予市市立病院等検討委員会、西予市新市立病院建設予定地検討委員会、西予市議会宇和病院問題等特別委員会での議論や答申を踏まえ、現在地に現在の西予市民病院が建設された。医師の負担軽減や医療従事者の確保を図ること、二次救急の集約を図り、地域医療を提供する南予の中核的な病院となるべく検討され、西予市民病院が建設されたという経緯がある。病院建設とその責任の所在を求めるべきものではないと考えている。
この記事に関するお問い合わせ先
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愛媛県西予市宇和町永長147-1
電話:0894-62-6424
ファックス番号:0894-62-1122
更新日:2024年08月20日