【報告】ジオサイトで地下性チビゴミムシの調査を実施

更新日:2025年01月10日

専門家によるチビゴミムシの解説の様子

穴神鍾乳洞前で専門家によるチビゴミムシの解説の様子

チビゴミムシという昆虫がいます。コウチュウ目オサムシ科チビゴミムシ亜科に属する昆虫です。カブトムシと同じコウチュウ目のチビゴミムシですが、体長はわずか3~10mm程度の小さな昆虫です。また、チビゴミムシの多くは複眼と後翅が退化し、感覚毛が長いといった地下生活に特化した形態をもちます。名前にゴミがつきますが、地下に適応した種は色素の欠乏により半透明のアメ色をした美しい昆虫です。

西予市においてもチビゴミムシの記録があり、地下に適応した地下性チビゴミムシについては約10種類が生息していると考えられます。過去の記録では西予市のチビゴミムシの大体が洞窟で見つかっています。これはかつてチビゴミムシが洞窟内で進化を遂げた昆虫とされ、日本におけるチビゴミムシの調査が洞窟だけで行われたことが理由のひとつです。現在では、洞窟以外の山のガレ場や沢周辺の地下空間でも生息が確認されたことから洞窟性昆虫から地下性昆虫として認識されるようになりました。

今回、四国西予ジオミュージアムでは地下性チビゴミムシの専門家の協力のもとジオサイトである穴神鍾乳洞と羅漢穴を中心に地下性チビゴミムシの調査を実施しました。調査で確認した穴神鍾乳洞と羅漢穴に生息する地下性チビゴミムシのうち2種について紹介します。

穴神鍾乳洞に生息するナルクミメクラチビゴミムシは体長3mm程度であり、穴神鍾乳洞に限り記録があります。このように特定の地域に分布する種を固有種と呼びます。西予でしか見られない西予を代表する昆虫ではないでしょうか。羅漢穴を主に見られるカワサワメクラチビゴミムシは、羅漢穴が基準産地です。学名は羅漢穴にちなんで名づけられ、Rakantrechus属の基準種であり、分類学的に重要な種です。

私たちが普段、見ることがない地下の世界では、チビゴミムシが特異な外部形態を獲得しながら地下環境に適応して生活しています。チビゴミムシの生態は解明されていないこともあり、調査を続けることで西予市から新種のチビゴミムシが発見されるかもしれません。

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