西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(4)
今年2月に県の史跡に指定された笠置峠古墳では、直口壺、二重口縁壺、高坏といった土器や食物形土製品が出土しています。こうした土器の形や製作技法を細かく分析することで、土器の作られた時期や色々な地域との関係をうかがい知ることができます。
例えば二重口縁壺の胴部の形と底部の作り方は、今治市大西町の妙見山1号墳出土の土器と共通しており、古墳時代前期でも古い段階のものであることがわかります。作り方が共通するということは、中予と南予の結びつきがあったことを示します(妙見山1号墳がある大西平野を含む高縄半島の西側は、当時は中予文化圏に属していたと理解されています)。
粘土紐を巻き上げて作る脚部を持つ高坏は、播磨、淡路、河内、和泉、紀伊南部と丹後、そして伊予に見られます。なかでも笠置峠古墳出土の高坏は、丹後(京都の北部)の白米山(しらげやま)古墳出土のものとよく似ています。食物形土製品を伴う点も共通していることから、直接的か間接的かはともかく、両者の間に何らかの関係があったことがうかがえます。さらに、古墳上で飲食用の器を伴う儀礼に着目すれば、伊予、豊前、長門、備後の西部瀬戸内圏を単位として展開していたことがわかっています。
このように土器から見ると当時の宇和盆地は、中予、西部瀬戸内、さらに関西(丹後)など多面的な関係があったことがうかがえ、笠置峠古墳の儀礼はその関係のもとで執り行われたと言えるのです。
この記事に関するお問い合わせ先
まなび推進課
愛媛県西予市宇和町卯之町三丁目434番地1
電話:0894-62-6415
ファックス番号:0894-62-1115
メールフォームによるお問い合わせ
更新日:2023年05月23日