西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(5)

更新日:2022年06月16日

笠置峠古墳からは、剣や斧、刀子(ナイフ)、鑿(のみ)、ヤリガンナ、鎌、鍬などの鉄製品が出土しています。これら様々な種類の利器(刃物)は、王の遺体のそばにそなえられた副葬品だと考えられています。

では、なぜこのような利器を王の遺体とともに埋葬するのでしょうか。その背景には、当時の人々の死に対する考え方があったようです。それは亡くなった王の遺体に邪悪なものがとりつくと、王の死霊が悪霊化し、生きる者たちに災いをもたらすというものです。ですから、古墳には悪霊がとりつかないようにする様々なしかけが施されるとともに、古墳の上では王の魂を鎮め、悪霊をはらうための儀礼が行われました。笠置峠古墳から出土した様々な利器も、利器の持つ力で、悪霊がとりつかないよう王の遺体のそばにそなえられたものではないかと考えています。

一方、これらの利器のうち、剣は人為的に折り曲げられたものでした。剣には木製の柄がはめられていたようですが、身の厚さは0.3センチと薄く、副葬品として製作された可能性があります。

このように折り曲げられた鉄器は、北部九州から近畿の間に分布しています。折り曲げる意図については諸説ありますが、実用品や実用品に似せたものを使用できない状態にし、万一、王の死霊が悪霊化しても、剣をもって村人に危害を加えないようにしたのではないかという指摘があり、私たちもそのように理解しています。

この記事に関するお問い合わせ先

まなび推進課
愛媛県西予市宇和町卯之町三丁目434番地1
電話:0894-62-6415
ファックス番号:0894-62-1115

メールフォームによるお問い合わせ