西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(8)

更新日:2022年09月16日

大正期から前方後円墳と認識されていた小森古墳ですが、そのことが発掘調査で確かめられたわけではなく、古墳の年代も断片的な情報をもとにしたもので、長い間はっきりとしていませんでした。

愛媛大学考古学研究室では、平成14、15年に、笠置峠古墳に関連する資料調査として、八幡浜市民図書館に所蔵されている小森古墳採集遺物の実測を行いました。平成29年、愛媛県埋蔵文化財調査センターの松村さを里さんは、これらの資料と宇和歴史民俗資料館に所蔵されていた資料を紹介しました。松村さんは、小森古墳から採集された土師器のうち、主要な器種である二重口縁壺の形の特徴を県内の古墳出土の二重口縁壺と比較し、古墳時代前期中相に位置付けられるとしました。笠置峠古墳は、古墳時代前期古相に位置付けられていますので、小森古墳は笠置峠古墳よりも後の段階に築造された可能性が高いと考えられます。

平成29年度から、西予市教育委員会では古墳の確認調査を継続して実施しており、調査で出土した土師器の分析結果からも、松村さんの評価は裏付けられそうです。さらに、調査では後円部と前方部をつなぐ部分が確認されたほか、前方部の端部と思われる岩盤を加工した様子も明らかになりつつあります。つまり、小森古墳は、古墳時代前期中相に位置付けられる前方後円墳であることが、調査によって徐々にわかるようになってきたのです。

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