西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(9)

更新日:2022年10月13日

西予市教育委員会では、市内の遺跡の有無を把握するため、詳細分布調査を実施しています。平成21年度の踏査では、西予市宇和町杢所の丘陵上に前方後円墳の形をした遺跡が発見されました。その後、愛媛大学の下條名誉教授や村上教授(考古学)の現地確認、同大考古学研究室の測量調査や地中レーダー探査などにより、この遺跡が古墳時代前期の前方後円墳であることが確認され、地名をとって、ムカイ山古墳と名付けられました。

宇和盆地の前期前方後円墳としては、すでに発掘調査が行われていた笠置峠古墳(宇和町岩木)、古くから知られていた小森古墳(宇和町山田)があり、現在の石城地区に有力な勢力が存在していたことは分かっていました。今回の発見で、中川地区にも前方後円墳を築くことのできる勢力が存在したことが想定できるようになりました。また、笠置峠古墳が笠置峠を介した八幡浜方面との交通路を意識していたとすれば、ムカイ山古墳は鳥坂峠を介して大洲方面との交通路を意識していたと考えることもできるでしょう。

また、前期前方後円墳(しかも3基)が存在するのは南予では宇和盆地だけ。中予には朝日谷1号墳に今治市大西町の妙見山古墳を加えても、確実に前方後円墳といえるのは2基だけです。

地道な調査が新たな発見をもたらしたよい例です。今後の調査によって、宇和盆地の新たな価値の創出につながることが期待されます。

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