西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(11)
朝鮮半島に、新羅、百済、高句麗の三国が並び立った時代、おおよそ4世紀から7世紀を三国時代といい、日本ではおおむね古墳時代に該当します。この三国時代に朝鮮半島で作られた硬質の土器を、陶質土器と呼びます。四国のなかで、愛媛県はこの陶質土器の出土例が最も多い地域です。そして、宇和盆地からもこの陶質土器が出土していることをご存知でしょうか。
伊勢山大塚2号墳(下松葉)から、1.5世紀後半頃の有蓋高坏、2.6世紀前半の短頸壺、3.4.6世紀前葉の長頸壺、4.5世紀後葉の脚付長系壺の5点が出土しています。1.は新羅もしくは伽耶系のもので、2.から5.は伽耶に類例が多いことが指摘されています。また河内谷遺跡(岩木)からは、5世紀後半の百済系の壺が出土しています。さらに道仙寺古墳群(東多田)からは、6世紀後半の統一新羅系の脚付長頸壺が出土したとされています。また、長尾古墳(山田)出土の有肩鉄斧は5世紀後半頃のもので、朝鮮半島との緊密な関係を示すという指摘があります。
こうした朝鮮半島産の陶質土器などが宇和盆地から豊富に出土するということは、何を意味するのでしょうか。5世紀代には、朝鮮半島から日本に様々な文化をもたらしたいわゆる渡来人の存在が教科書でも紹介されていますが、宇和盆地にもこうした渡来人たちが居たのではないでしょうか。今後も調査を進めていく必要がありますが、すでにこの時期、宇和盆地は国際社会と結びついていたと思われるのです。
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更新日:2023年02月20日