西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-古墳時代(12)
今回は、古墳時代後期の大刀に付けられた飾り金具をご紹介します。その金具とは大刀の把の先端に付けられるもので、形によっていくつかに分類されています。写真の資料は、輪っか(環)の内側に2匹の龍がデザインされた飾りが入る双龍環頭柄頭と呼ばれるもので、大江垣内古墳から出土したとされます。環の平面形は下側がややつぶれたおむすびに近い形をしていて、環の内側にはタガネによる刻目が6~11個一単位で打ち込まれています。形などの特徴から、7世紀前半頃に製作されたものと考えられています。
このような装飾付大刀については、特定の形をした大刀をある特定の氏族が政治的意図をもって配布したのではないかという議論があります。今回ご紹介した双龍環頭大刀については蘇我氏との関係が指摘されています。蘇我氏といえば、教科書にも登場する有名な古代氏族で、蘇我稲目の息子馬子は6世紀後半に物部氏を滅ぼし、崇峻天皇や推古天皇を立て大きな権力を握りました。巨大な石室を持つ奈良県明日香村の石舞台古墳は、馬子の墓と言われています。その後、645年の乙巳の変に始まる大化の改新で排除された蝦夷、入鹿親子も権勢をふるいました。
大江垣内古墳の被葬者は、こうした中央の有力氏族とつながりをもった豪族だったのかもしれません。
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更新日:2023年03月20日