史跡における獣害の拡大

更新日:2023年04月20日

法律上、「貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの」で史跡と呼びます。史跡に関係する災害といえば、一般的には大雨や地震で史跡がき損するような被害が考えられます。実際、平成三十年豪雨の際にも、例えば国史跡の八幡浜街道笠置峠越では、大量の水が流れたことで街道の一部が洗掘される被害が発生しました。しかし最近はこうした災害とは異なる新たな災害が生じているとの話をうかがいました。それは獣害です。

先日愛媛大学で開催された「人口減少社会と文化遺産の未来」というシンポジウムにおける基調講演の中で、人口減少で耕作放棄地が拡大するなどした結果、イノシシなどによる獣害がこの十年拡大しているというのです。

確かに最近市内でも、アナグマのような獣が古墳に小さな穴をあけたケースが一、二件見つかっています。なかには動物の歯型が付いた薄くつぶれたような金属製品が見つかったケースもありました。よくよく確認すると、その金属製品は耳環と呼ばれる古墳時代の装飾品で、本来断面は丸い形をしているのですが、強くかまれたことで薄くつぶされたものと思われます。先日はナルタキ古墳群(宇和町岩木)でイノシシが掘り起こしたであろう被害も確認され、いよいよ獣害が拡大しつつあるのだと改めて実感したところです。海岸部の段畑でも石積みを崩すケースはよく耳にしますし、全国的に顕在化してきているようです。

簡単に防げるものではありませんが、十分注意する必要があります。

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