西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-弥生時代の宇和(2)
田苗中市遺跡や山田細狩遺跡など、宇和盆地の弥生時代中期の遺跡からは、独特の形と装飾が特徴的な土器が出土しました。土器の方から口にかけて緩やかに反って広がり、口には薄い帯状の粘土が貼り付けられ、縁にそって刻み目と呼ばれる文様が施されています。また、土器の口と胴の間には、細い粘土紐が貼り付けられています。この土器は、宇和盆地のみならず、南予地域から高知県(土佐)に広がっていることから、西南四国型土器と名付けられました。
西南四国型土器は、縄文時代晩期の刻目突帯文土器にルーツをもつことが指摘されています。つまり、弥生時代中期頃の南予地域は、縄文時代の伝統を引く地域色豊かな土器文化を土佐と共有していたのでした。
前に見たように、弥生時代の宇和盆地には、稲作とこれに伴う文化が入っていたにも関わらず、なぜこのように先祖返りのような現象が生じたのか。その理由はいまだに解明されていません。ただ、似たような現象は四国西南部だけでなく、現在の大分や和歌山などでも見られます。地域色の強い土器文化が広がるという意味ではもっと広い範囲で見られます。弥生時代中期には、各地で地域独自の文化が花開いたといえます。
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更新日:2021年05月21日