西予市の暮らしを時代、地域別に紹介-弥生時代の宇和(3)
前回、弥生時代中期の宇和盆地では、西南四国型土器という地域色豊かな土器が利用されていたことをご紹介しました。次の弥生時代後期になると、口が「く」字状に折れ曲がる甕や、いままでになかった高坏や器台といった種類の器が見られるようになります。壺では、外向きに開いた口の上にもうひとつ口を重ねたタイプ(複合口縁壺といいます)が出現します。さらに、土器の表面を、板状の工具を使って整える刷毛目調整という手法が導入されます。
こうした新しい土器の種類や形、調整手法は、中予地域に先行して見られるもので、弥生時代後期以降、中予地域からの影響が強まったことがうかがえます。一方で在地の土器である西南四国型土器は、特徴である装飾を失うなど退化し形を変えつつも、後期を通じてある程度の割合は残っています。外来の文化を積極的に取り入れつつも、地域性が失われたわけではなかったようです。
複合口縁壺は、県内だけでなく、広島、山口、福岡、大分などにも分布しています。地域によって形や文様には違いがありますが、大きく捉えると、西部瀬戸内に共通する土器文化があったことがわかります。西部瀬戸内には、壺以外に器台の広がりも認められることから、地域的なつながりが強かったといえます。
西部瀬戸内における地域間のつながりは、次の古墳時代にも引き継がれていくことになります。
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更新日:2021年06月17日