市指定 木造薬師如来坐像

更新日:2018年07月06日

木造薬師如来坐像

よ み:もくぞうやくしにょらいざぞう

所在地:西予市宇和町河内

所有者:福楽寺

指定年月日:昭和40年12月15日


 

像高61.2センチメートル、髪際高53.9センチメートル、台座総高71.5センチメートルの薬師如来坐像。頭髪や()(しゅ)、唇等を除き、表面を彩色せず素地のままとする像である。このような素地仕上げの像は、奈良時代後期から平安時代初期にかけて流行した檀像彫刻を想起させる。檀像とは、狭義には南方特産の木理細かい香木であるビャクダン(白檀)を材とする彫刻の謂だが、日本においては、国内で自生しないビャクダンの代用材としてカヤを用い、原材からできるだけ多くを彫り出す一木造の像が多く生み出された。これらを広義に檀像と称している。

平安後期以降、寄木造の技法が確立されると、丸彫に近い構造を有する檀像は次第に影を潜めたが、複数の材を組み合わせながらも、表面の仕上げのみは材の素地を生かした疑似檀像ともいうべき作例は絶えることなく造り続けられた。本像もそのような系譜に列なる作例と考えられよう。頭・体のバランスの整った堅実な作品であり、制作年代は鎌倉時代中期(13世紀中頃)と推定される。光背こそ失うものの、台座をほぼ完備する点は貴重である。

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