市指定 蕨手刀

更新日:2018年07月06日


よ み:わらびてとう

所在地:宇和歴史民俗資料館

所有者:個人

指定年月日:平成6年5月13日


 

柄頭が早蕨の巻いた形に似ていることから蕨手刀と呼ばれる。30~60センチメートルの小型の鉄刀で、九州から北海道まで出土するが、東北および北海道に全体の8割が集中していることから蝦夷(えみし)との関係が考えられていた。西日本での出土は本品を含め8例が知られており、出土遺跡は新興勢力と関連する性格を持つ遺跡であるとの指摘がある。

本品は、明石寺参道入口から南に150m程の位置から出土。柄長12.4センチメートル、刀長31.3センチメートル、全長43.7センチメートルを計り、復元で全長44.8センチメートルになる。柄は元から柄頭にむかってわずかに幅を減じ蕨手の柄頭へ至る。形態的に柄頭Bに分類されるものである(八木光則・藤村茂克2003『蕨手刀集成』盛岡市文化財研究会)。把頭には懸通(かけどおし)(あな)を空けており、鵐目(しとどめ)金具が残っている。(きっさき)は先端が欠損するが、かます型と思われる。鞘元(さやもと)に木質が残存することから木製の鞘に入れられていたものと思われる。(つば)と鞘口金具が残存。装具は張出双脚の足金具(一の足、二の足)が着装されている。概ね7世紀末のものと思われる。

(参考:佐藤宗男1992「愛媛県宇和町出土の蕨手刀について」『古代文化』44-10古代学協会、垣見奈緒子2009「西日本における蕨手刀-明石出土の蕨手刀の評価をめぐって-」『宇和盆地の古代文化研究1.』西予市教育員会、愛媛大学考古学研究室)

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