文化遺産を活かした地域づくりイベント「文化遺産の利活用と住民活動を考える」を開催しました

更新日:2023年05月31日

令和5年5月27日(土曜日)に、文化遺産を活かした地域づくりイベント「文化遺産の利活用と住民活動を考える」を、笠置文化保存会、愛媛大学考古学研究室との共催で開催しました。

人口減少社会において、文化財をどのように保存・活用するのかという課題に対して、長年遺跡(古墳)を中心とした住民活動が続けられてきた西予市宇和町石城(いわき)地区をフィールドに考えました。

第1部では、笠置文化保存会の二宮宣雄会長が「笠置文化保存会の25年の活動と歩みと」題して、四半世紀を超える活動を振りかえるとともに、平均年齢70歳を超える保存会の現状と課題を報告。

続いて下條信行先生(愛媛大学名誉教授)が「笠置峠古墳の再評価-愛媛県最古型式の前方後円墳」と題して、古墳という場の持つ機能について研究史を確認し、そのうえで古墳の築造そのものにも辟邪(へきじゃ)の思想が貫徹していると考え、前方後円墳の前方部の成立過程に現れているとしました。すでに評価された文化遺産に新たな価値を見出す試みです。

村上恭通先生(愛媛大学社会共創学部)は「奄美・徳之島における文化財の利活用と地域住民について」として天城遺産に関する取り組みを紹介いただき、他地域の事例を学びました。また文化遺産が枯渇しないような管理の必要性、地域社会や地域住民に負荷のかからない文化資源の活用には、地域社会や住民が自主的、民主的にかかわることの重要性についても触れられました。

このあと、石城地区の文化・自然遺産を通してより多くの方に当地のファンになっていただきたく、市教委が試みにピックアップした石城遺産10選を紹介し、兒玉洋志(西予市教育委員会)が小森古墳を、岡崎直司氏(西予市文化財保護審議会)が山田薬師、参道の建造物、西山田公会堂などを、久場勝弘氏(地域おこし協力隊)がわらマンモスや宇和盆地の景観を説明・紹介しました。

二宮宣雄笠置文化保存会会長

下條信行愛媛大名誉教授

村上恭通愛媛大教授

兒玉洋志(西予市教委)

岡崎直司氏(市文化財保護審)

久場勝弘氏(地域おこし協力隊)

第2部では、笠置峠古墳の墳丘上で執行されたと考えられる葬送儀礼と通じる辟邪(へきじゃ)の意味もある出雲神楽を万九千社立虫神社神代神楽保存会(島根県出雲市)​​​​​の皆さんにご披露いただき、宇和の里の平安や安寧を祈っていただきました。

会場を訪れた約100名の参加者から、大きな拍手が送られました。

また会場には、小笠原慶一さん(笠置文化保存会元会長)が撮影した昭和30~40年代の石城の農村風景や、旧宇和町(西予市)が大学や住民とともに古代文化の解明に取り組むきっかけとなった岩木赤坂遺跡の調査風景の写真が展示され、参加者はわらぐろが立ち並ぶ農村景観や当時の様子に見入っていました。

さらに翌5月28日(日曜日)には、石城遺産のうち小森古墳、山田薬師、三瓶隧道、わらマンモス、笠置峠古墳の現地見学がおこなわれ、参加者35名が石城の文化遺産を楽しみました。

清米(きよめ)

二方剣(四方剣)

悪魔切

小笠原慶一さん撮影の写真展示

笠置峠古墳

JR伊予石城駅近くに作られたわらマンモスをバックに

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