機屋修繕ワークショップを実施します!
文化的景観は、生活・生業の歴史を象徴するさまざまな要素によって構成されています。今年の文化的景観ワークショップでは、狩浜の景観構成要素の一つである「機屋(はたや)」の保存・活用を目的に、業者さんや香川大学の協力のもと、地元の有志の方々の手によって修繕を行います。
機屋とは?
主に機織(はたおり)の作業小屋として使われていた建物です。安政元(1854)年に俵津浦の庄屋・井上駒次郎が先進地の近江国から高織機(たかおりばた)を導入し、村民に副業として綿織物を勧めました。狩浜では明治半ばのイワシ不漁期に機織が盛んになり、この地域で織られた反物は「狩江縞(かりえしま)」として知られるようになりました。この狩江縞を携えた商人は高知や九州まで行商に行き、この行商で得た収益が、今も狩浜に残る段々畑の石垣や、春日神社の石造物の原資となっています。今日見られる狩浜の景観をつくった場所の一つ、と言ってよいでしょう。
(参考)「西予市文化的景観調査成果報告書」(2018/西予市教育委員会)p.114、p.208
なぜワークショップでやるの?
西予市では文化的景観選定地区内でおこなわれる建物等の修理に対し、経費の一部を補助しています。しかし、補助があったとしても自己資金をなかなか用意できないなど、保存の意志はあっても資金面でのハードルによってなかなか修理に踏み切れないケースもあるかと思います。しかし、地域の歴史を語る上で重要な建物は「地域の宝」でもあるので、後世に伝えていく負担を所有者だけが抱える必要はないのではないかと思います。このワークショップは、所有者の金銭負担なく修理でき、地域の歴史を、官・民・地域の力を合わせて守り繋いでいくというものです。この取り組みを軌道に乗せることができれば、「狩浜」という地域の唯一無二感が今よりももっと輝きを増してくるのではないかと考え、企画に至りました。ぜひ、温かく見守っていただけますと幸いです。
スケジュール(予定)
8月5日(火曜日) 屋根解体
8月6日(水曜日) 野地板取替、壁土作り、えつり掻き
8月7日(木曜日) 垂木取替、土壁塗り
8月8日(金曜日) 野地板取替、土壁塗り
8月9日(土曜日) 瓦葺き替え
8月10日(日曜日) 予備日
当日の様子や天候不良時のお知らせ等は「西予市の文化財公式Instagram」にて発信する予定です。

狩江縞の端切れ(「西予市文化的景観調査成果報告書」p.114より)
この記事に関するお問い合わせ先
まなび推進課
愛媛県西予市宇和町卯之町三丁目434番地1
電話:0894-62-6415
ファックス番号: 0894-62-6564
更新日:2025年07月17日