「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」が国重要文化的景観選定へ!

更新日:2023年05月23日

文化審議会が選定を答申

文化審議会は、西予市明浜町狩浜の文化的景観「宇和海狩浜の段畑と農漁村景観」を国の重要文化的景観に選定するよう、文部科学大臣に答申しました。

入江から、居住地、段畑、山林へと連なる壮大な文化的景観が、黒潮の影響を受ける宇和海沿岸部のリアス海岸における土地利用を示し、風土に根ざした斜面地農業の展開をよく伝えている点などが評価されたものです。

全国の重要文化的景観選定数は64件となり、愛媛県内では「宇和島遊子水荷浦の段畑」(宇和島市)、「奥内の棚田及び農山村景観」(北宇和郡松野町)に続き3件目の選定となります。

 

狩浜の歴史と暮らし

江戸時代、狩浜は鰯漁を営む漁村でしたが、好不漁の浮き沈みを農業で補い、麦、櫨、養蚕など時代に応じた作物へと転換を図り、現在は多様な柑橘栽培を主産業とし、漁業ではちりめん漁や真珠養殖がおこなわれています。

石積みの段畑景観は、近代の養蚕の発展とともに段畑が石垣化され、仏像構造線を境に入手できる石灰岩や砂岩、チャートなど近くからとれる石材を利用して築き上げられたものです。

石垣の灰白色と柑橘の緑や橙が空と海の青さに彩られる景観は、「秋光映発して橘果鮮やかなり」と謳われています。

また集落には、その時の生業に応じて造られたり改良された建物が多く残り、暮らしの変遷を今に伝えています。

地元春日神社の秋祭りは、各地区がそれぞれに役割を担うことで住民同士の結びつきを強め、地域に欠かせない魅力あふれる行事となっています。

狩浜では有機栽培やユニークなまちづくりに取り組む住民も多く、こうした動きの中で景観が維持され地域の魅力となっています。

 

平成30年7月豪雨災害では、狩浜地区を含めた宇和海沿岸の集落や農地などでも斜面崩壊など大きな被害が出ました。

今回の選定が、被災した地域や住民の皆様にとって少しでも明るい話題となり、地域づくりの一助となれば幸いです。