宇都宮家のオリヤ養蚕

更新日:2026年01月13日

最盛期の養蚕農家の屋敷構えを伝える観点で重要な建物です。

この敷地には、木造二階建入母屋造桟瓦葺の住居兼蚕室(=オリヤ養蚕)と、複合型付属小屋が建っています。

狩浜では明治期に導入した養蚕業が大正期にかけて隆盛していくにつれ、養蚕設備も向上していき、居宅と蚕室を兼ねる建物が多く建てられるようになりました。狩浜では住居の機能を持たない専用蚕室が「養蚕(ヨウザン)」と呼ばれるのに対し、このようなタイプの建物は居住の機能を持つ点が強調され「オリヤ養蚕(ヨウザン)」と呼ばれます。

敷地内に西面して建つ付属小屋は、隠居部屋と納屋としての機能を備えます。このように、狩浜では1棟に2つ以上の機能を組み合わせて建てる慣習が多く見られます。リアス海岸地域の平地が少ない土地条件において、屋敷地を有効活用する工夫だったのでしょう。

また、この納屋ではかつて「クサラカシ」という魚肥が保管されていました。戦後期までイワシ漁がさかんだった狩浜では、煮干しに製造できないイワシを腐熟させ、灰などを混ぜて肥料を自給していました。良質な糸を紡ぐためには、蚕のエサとなる桑の品質が重要でしたから、これらの魚肥はさかんに桑畑に投入されました。

海からの恵みであるイワシが段畑で育つ桑の肥料となり、育った桑が里に下りて蚕のエサとなることで、養蚕最盛期の狩浜の生活を支えていました。うみ・さと・やまを繋ぐ狩浜の暮らしを象徴するお宅ともいえます。

 

参考:「西予市文化的景観調査報告書」(西予市教育委員会,2018)p.65、p.69、p.72、p.203

宇都宮家オリヤ養蚕と納屋
魚肥用大樽

納屋に残る魚肥用の大樽(他家にて撮影)

この記事に関するお問い合わせ先

まなび推進課
愛媛県西予市宇和町卯之町三丁目434番地1
電話:0894-62-6415
ファックス番号: 0894-62-6564

メールフォームによるお問い合わせ